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本物を追求する 山口光峯堂の誇り

今回のお相手

平安の時代から、熊野詣に訪れた旅人が記念に持ち帰っていたといわれる歴史深い那智黒石。その那智黒石のなかでも「玉(ぎょく)」と呼ばれる希少性の高い部分を使ってつくられた、山口光峯堂の那智黒硯は皇室にも献上される手彫りの逸品です。山口光峯堂に受け継がれる誇り、「本物」に向き合う姿勢とは。50年以上かけて技を培ってきた名匠、二代目山口光峯さんと、その誇りを受け継いだ三代目にお話を伺ってきました。

作品一覧


妥協なき挑戦 山口光峯堂の誇り



――三代目が硯作りの世界へ入ったのは。



三代目:
私も同じように、当初は継ぐ気はありませんでした。気がなかったというより、覚悟がなかったのだと思います。父が働く硯業界の厳しさも身近感じていましたので。最初は歯科技工士として働いていましたが、父の体調が思わしくない時期があり、戻って手伝うようになったのがきっかけでした。ただ「いわれたことをいわれた通りにやるのが正解というのは、つまらない」とは前々から思っていましたので、新たな試みが出来るこの仕事を今は転職だと思ってやっています。

勉強のために、他の産地を訪れたとき、たまたま目にした「那智黒光峯堂」と書かれたうちの硯を見つけました。それを見て、気持ちを新たにさせられたこともあります。自分が納得し、使い手も満足していただけるものづくり、そのためには絶対に妥協はできません。それは山口光峯堂の誇りとして受け継いだものだと思っています。



本物を残していく使命 生涯現役の職人魂



――山口光峯堂のものづくりが受け継がれています。



山口光峯氏:
「人間、死ぬまで勉強」です。私どもは那智黒については絶対の自信がありますが、硯という分野はまだまだ広い。常に勉強です。いま、好評を頂いている「曼荼羅の径(まんだらのみち)」や、「石のささやき」の硯も、そうした勉強、お話をさせて頂く中から着想を得て生まれました。

真摯に向き合ってこそ、本当のものづくりと言えます。そして本当のものづくりからしか、本物は生まれません。私の父は94歳まで現役でしたが、私も生涯現役で、ものづくりを学び続けながら、これからも、皆様に喜んで頂ける本物を作り続けて参りたいと思っています。


(取材・文 沖中幸太郎)

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